これまで数回に分けて、民法(相続関係)の改正案成立に伴い、その内容の主な部分を概観しましたが、その他の改正点も併せてみてみようと思います。
1 その他の改正内容
これまでみてきたもののほか、遺言執行者の権限の明確化を図るなど、今回の民法改正は実務に非常に大きな影響を与える内容となっています。今回触れられなかった点については、今後のコラムなどで加筆していきたいと思います。
2 国会の付帯決議のご紹介
また、今回の法改正にあたっては、付帯決議があります。以下、参議院の付帯決議を引用してみました。
「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」及び「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」に対する附帯決議
平成三十年七月五日
参 議 院 法 務 委 員 会
一 現代社会において家族の在り方が多様に変化してきていることに鑑み、多様な家族の在り方を尊重する観点から、特別の寄与の制度その他の本法の施行状況を踏まえつつ、その保護の在り方について検討すること。
二 性的マイノリティを含む様々な立場にある者が遺言の内容について事前に相談できる仕組みを構築するとともに、遺言の積極的活用により、遺言者の意思を尊重した遺産の分配が可能となるよう、遺言制度の周知に努めること。
三 法務局における自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度の実効性を確保するため、遺言者の死亡届が提出された後、遺言書の存在が相続人、受遺者等に通知される仕組みを可及的速やかに構築すること。
四 法務局における自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度の信頼を得るため、遺言書の保管等の業務をつかさどる遺言書保管官の適正な業務の遂行を担保する措置を講ずるよう検討すること。
○衆議院ホームページ http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Kanren/houmuF11352CE566F01CB492582A30065C434.htm
○参議院ホームページ http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/196/f065_070501.pdf
3 施行時期について
今回の改正は、2020年7月までに順次施行される見込みです。
4 まとめ
今回の民法(相続関係)改正は、多くの人に影響があるものとして、非常に重要なものとなることでしょう。
当事務所では、引き続き改正内容に関する最新の情報をフォローしつつ、随時、適切なアドバイスができるよう努力していきたいと思います。
■相続関係コラム 民法(相続関係)改正法のポイント一覧 (2018年07月18更新)
民法(相続関係)改正法案が可決、成立しました
民法(相続関係)改正法のポイント(1)「配偶者居住権・配偶者の保護」
民法(相続関係)改正法のポイント(2)「仮払い制度の新設」
民法(相続関係)改正法のポイント(3)「遺留分・寄与分、遺言の仕組みの変更点」
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