1 日本における生命保険の状況
随分昔から、日本人は生命保険に多く入っている、ということを言われて久しいですが、おそらく今のその状況は変わらないかと思います。
なぜ生命保険に入るのか、その理由は様々だと思います。
例えば、①自らの死後、残された家族の生活費として利用してもらうため、②事業をやっておられる方がその事業の負債を家族が負うことがないようにするため、③相続税の対策のため、など様々です。
そして、私のコラムでも取り上げたところですが、平成28年12月19日の最高裁判例が出て、これまで認められてきた法定相続人による相続分相当の払い戻しが認められなくなったことから、今後、相続発生時に必要となるお金を捻出する手段として、生命保険を活用する人は増えてくるかもしれません。
2 相続時のお金のことは保険の活用を、円満な承継のためには家族信託を
私が普段携わっている「家族信託」というのは、自らの財産を残された家族に円滑に承継するための仕組みで、自らに「財産」(これは自らが住んでいる土地・建物なども含みます)があることがその前提となります。
しかしながら、円滑な承継が出来たとしても、その後に、相続税の支払いの問題などは起きてしまうことがありますが、その部分を支えるのは生命保険という仕組みです。
逆に、生命保険では上記のとおりお金の問題のサポートは出来るのですが、不動産などを円滑に承継させることはできません。
その場面では家族信託が出てきます。
このように、家族信託と保険というのは、相互に補完し合いながら、資産の円滑な承継や相続税対策などをトータルでサポートすることができるものとなっております。
3 保険のことを考えるときには家族信託を
全てが保険で片付くときにはあえて家族信託を考える必要はないですが、そうでない場合、例えば円滑に承継したい不動産があるような場合には、家族信託の活用も考えてみてください。
もちろん逆もしかりで、家族信託のことを考えるときには保険の活用も考える必要があります。
4 専門家間の連携の必要性
以前、私が信託フォーラムにて家族信託における専門家間の連携の必要性について寄稿したのですが、上記の例だけを見ても、家族信託のことを考えるときには保険のことなども考えていく必要があることがわかると思います。
〇信託フォーラムVol.7の内容について
http://www.kajo.co.jp/data/leafPDF/sinntaku7.pdf
5 相談者の力になれる家族信託などの提案ができるようにするため
よりよい提案ができるようにするためには、他の業種の方と連携をしながら進めていく必要が強いのがこの家族信託の特徴です。
私は家族信託をやっていくにあたって、税理士さんやファイナンシャルプランナーの方、そして不動産関係の方などに色々とアドバイスを求めながら連携して取り組んでいます。
当事務所では、家族信託について、またそれに限らず、円滑な資産承継、トラブルのない資産承継のために取り組んでおりますので、何か気になることがありましたら、遠慮なくお尋ねください。