家族信託コラム⑮~家族信託の落とし穴①相談者の目的は何か~

 これまで家族信託について多くのコラムを書いてきたのでお分かりの方もいらっしゃると思いますが、家族信託というのは、とても柔軟な仕組みとなっています。
 そして柔軟であるということは、色々な仕組みを組み合わせてオーダーメードな制度設計をすることができるという長所があるのですが、反面で短所もあります。

 短所の中でも誰しもが陥りがちなものとしては「家族信託でこれができる」ということを押し付けてしまうことがあります。
 専門家として、新しい仕組みを使いたいという気持ちを持つこと自体は理解できますが、例えば、親一人、子一人の場合で、子供に一定の財産がある場合で直ちに資産の管理を移す必要がない場合などには家族信託をしなくても通常の相続で資産承継すれば良いと思われます。
 それにもかかわらず、このような場合に、「認知症対策には家族信託が必要。だから、家族信託にしたほうがよい」ということを押し付けてしまうのは厳に慎まなければなりません。

 家族信託もあくまで相談者の目的をかなえるための手段であり、そういう意味では他の手段で相談者の目的を叶えることができるのであればそちらもしっかりと説明をするべきです。
 そういう意味では、家族信託のほか、前回のコラムで取り上げた商事信託にどのような商品があるのか、などにも目を配る必要があります。

 家族信託を考えておられる方がいらっしゃったら、他の手段についてもあわせて相談をしてみるのがよいと思われますので、参考にしてみてください。

弁護士法人 井上・菊永法律事務所 電話082-554-2515 〒730–0012 広島市中区上八丁堀8–26 メープル八丁堀401号

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