相続関係コラム(22)で取り上げました、自筆証書遺言の仕組みの変更(遺言書の保管にかかる部分)について、コラムの時点では固まっていなかった内容を取り上げます。
〇制度の概要について(法務省HP)
遺言書保管制度は、自筆証書遺言を法務局で預かる仕組みです。その概要については、以下のリンクをご覧ください。
http://www.moj.go.jp/content/001318081.pdf
1 施行時期について
法務局における自筆証書遺言の保管制度の開始は、2020年7月10日からスタートとなります。このコラムを書いている時点(2020年5月1日)では、申請書等の様式はHPに上がっていませんが、実際の申請にあたってはそろえる必要がある書類がありますので注意してください。
2 手数料について
この自筆証書遺言の保管制度にかかる法律ができたとき、専門家の間では「この仕組みを利用する場合にはいくらかかるのか」ということに関心が高まっていたところですが、2020年4月20日に、次のとおり法務省から発表されました。
遺言書の保管の申請は1件あたり3,900円となっており、公正証書遺言より割安な値段になっています。
申請・請求の種別 | 申請・請求者 | 手数料 |
遺言書の保管の申請 | 遺言者 | 一件につき,3900円 |
遺言書の閲覧の請求(モニター) | 遺言者 関係相続人等 |
一回につき,1400円 |
遺言書の閲覧の請求(原本) | 遺言者 関係相続人等 |
一回につき,1700円 |
遺言書情報証明書の交付請求 | 関係相続人等 | 一通につき,1400円 |
遺言書保管事実証明書の交付請求 | 関係相続人等 | 一通につき,800円 |
申請書等・撤回書等の閲覧の請求 | 遺言者 関係相続人等 |
一の申請に関する申請 書等又は一の撤回に関 する撤回書等につき, 1700円 |
3 まとめ
この遺言書保管制度を使うと、自筆証書遺言においても検認が要らなくなるなどのメリットがあるため、制度がスタートすると利用する人は増えていくのではないかと思います。 専門家としては、公正証書遺言にすべき事案とこの制度を使うものとを分けて、もめ事にならないようにしていくことが必要です。
以上