久々の相続コラムです。
ちょうど、昨日、新聞で「相続登記義務化」という話が取り上げられていましたので、少し遡ること、2週間ほど前に出た「所在不明土地についての最終報告」についてコラムを書きます。
ニュースで見られた方もいらっしゃるかもしれませんが、民間の有識者で作られた「所有者不明土地問題研究会」が、今、問題となっている所有者不明土地(所在不明土地)問題についての最終報告書をとりまとめました。
1 報告の概要
(1)国や自治体が利用できる土地についての所有権放棄制度の創設
「土地は財産」と思われる方も多いですし、実際、そういう場合が多いのですが、他方で、使いにくい土地や自分が住んでいるところから遠い土地などをどう管理していくか、というのは大きな問題です。
このような場合、単純に「土地は財産」とは言えません。
夜には「負動産」と言う言葉もあったりします。
土地や建物は持っていると固定資産税などのコストも発生します。
そういう中、相続人全員が相続放棄をして誰のものでもなくなった土地や、そもそも相続手続きをしないままほったらかしにしている土地になっている土地が増えていっています。
この問題を予防する一つの方法としては、個人が所有権を手放すことができる仕組みを作ることが考えられるところで、今回の報告書でもそのような一つの方法として行政としての受け皿を用意したほうがよいということが取り上げられています。
(2)土地についての総合的なデータベースの構築
今、土地については、色々な行政機関が管理をしていて、その情報はかならずしも共有されていません。
それらの情報が総合的に管理をされることで、行政コストの削減や利用者の便宜に資することになると考えられるところです。
そのため、土地についての総合的なデータベースの構築をするのがよいのでは、と報告書では取り上げられているところです。
「一物五価」と言われたりするように、土地には固定資産税評価額、公示価格、実勢価格など様々な価格もあり、ただでさえ複雑なので、情報がワンストップとなることは良いことなのでは、と思ったりしています(まだ、今後どうなるかはわかりませんが)。
(3)現代版検地の実施の提言
不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、特に山林などでは「ここは誰の土地ですか」というのがわからない土地はままあります。
そういう意味では、今、所有者が不明となっている土地について、誰が所有者かを特定することを考えている現代版検地というのは、問題解決のキーになるかもしれません。
2 まとめ
これらの対応が進められたら、今、困っている人の多い所在不明土地問題の解決につながる部分があるかもしれません。
世の中で登記されていない土地というのは、本当に多くあります。
その中には、相続人が不明な土地もあれば、土地の共有者たる相続人の1人が反対して登記ができない土地など、様々です。
未来のために、相続登記がしっかりとされること、またはすでに相続登記を行うことが現実に不可能となっている土地についてなにかしらの立法的解決がされることを個人的には期待しているところです。