家族信託コラム(27)~信託をめぐる税制の動き~

 家族信託をするにあたって、私達が一番注意している点の一つは「税金」の問題があります。
 法律上はこれがベスト、という選択肢であっても、税金があまりに高くなってしまうという設計をしてしまうと、相談者の思いをかなえられないときがあります。
 設計した瞬間に、予期せぬ多額の贈与税が発生するような信託を設計しないようにしなければなりません。
 今回のコラムは、この信託に関する税制の動きについてです。

1 信託協会からのプレスリリース

 信託に係る税金をめぐる制度(税制)について、平成29年9月21日付で信託協会から「平成30年度税制改正に関する要望」が出されました。
 その主な内容は①株式信託を利用した事業承継にも納税猶予制度を適用すること、②教育資金にかかる贈与税非課税措置の恒久化、③結婚・子育て資金一括贈与にかかる贈与税非課税措置の恒久化、④企業年金等の積立金にかかる特別法人税の撤廃、を内容とするものです。

2 1の要望についての考察

 ②③については、各金融機関で様々な商品が設計され、とりわけ教育資金贈与については多くの利用がなされているところです。
 恒久措置になれば、次世代への財産移転がスムーズに進むので、良いことではないかと思っています。
 さて、1の要望の中、今回、私が注目しているのは①についてです。
 現在、事業承継税制において、株式の信託を利用すると、納税猶予は使えません。
 よって、株式信託を使うか、納税猶予を使うか、の択一的な判断をしないといけない仕組みになっています。
 これが両方使えるように税制が変わることによって、制度が使いやすくなり、円滑な事業承継ができるようになるのではないかと思っています。
 なお、株式信託については、下記のコラムをご覧ください。
家族信託コラム③~家族信託でできること(その2 事業承継対策)~

 〇信託協会HP
http://www.shintaku-kyokai.or.jp/news/news290921.html

3 まとめ

 これまでのコラムでは、主に高齢者支援としての福祉型信託のことをお話をしてきましたが、事業承継においても信託の仕組みを使うことが可能です。
 「こういうことはできないか」など気になることがありましたら、ぜひご相談ください。

弁護士法人 井上・菊永法律事務所 電話082-554-2515 〒730–0012 広島市中区上八丁堀8–26 メープル八丁堀401号

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