家族信託コラム(26)~自己決定のための家族信託~

 家族信託の相談を色々と受けている中で、最近、「家族信託は、一つの手段であって、財産を残したい方々がどういうことを望むかによって、家族信託を使うかどうかを考えるべきではないか」と考えることが増えてきています。

1 自らの想いはどこまで実現できるか。

 たとえば、高齢の男性の方がいらっしゃるという前提で考えてみましょう。
 その人の思いとしては次のような思いを持っています。
 ①自分が頑張って蓄えてきた財産について、世の中の役に立ててほしい。
  特に、自分がお世話になったA市のために役に立ててほしい、と思っている。
 ②自分には相続人がいるので、その人達にも何もあげないのもどうかと思っている。
 ③自分が判断能力を失うことになった場合には、自宅を売って施設に入れてほしいと思っている。

 ①②とも、これまでは遺言で対応することが多かったと思いますし、遺言によるのが良い場合も多くあります(このあたりはケースバイケースですが)。

2 認知症等になって判断能力を失った場合

 まず、認知症等になって判断能力を失った場合には、自らの意思に基づいて財産を処分等することができません。
 そして、1で述べた遺言について、効力が生じるのは、相続開始後になるため、しばらく財産が凍結してしまいます。
 このような場合、成年後見人を付けて、ということになりますが、成年後見人は成年被後見人の財産をしっかりと守ることをその役割とするため、①②の思いを叶えることはできません。
 また、③について、他に財産がある場合、自宅の売却は認められない可能性があります。
 これまで何度か述べてきたとおり、このような場合には、家族信託を使うことで、自らの想いを叶えることができます。
 〇参考コラム
家族信託でできること(その1 認知症対策)
家族信託でできること(その5 高齢者等の財産管理対策)~

3 自己決定のための家族信託

 ご本人様の意向によると思うのですが、元気なうちから「自分の財産はこうしたい」という思いがある場合には家族信託を検討してみるのが良いと思いますし、そうではなく「自分が健康面がしっかりしなくなったら、成年後見人を裁判所に選んでもらってしっかり管理してもらいたい」と思う方は任意後見や成年後見制度を使うと良いと思います。
 このように、両者は相互に衝突する仕組みではなく、どのような仕組みを使うかは「自己決定」に委ねられるべきだと思います。
 そして、「自分の財産をこうしたい」という思いがある場合には、その思いを叶えるためには家族信託というツールは極めて有用なものとなります。

 当事務所では、相談者様の想いに一番叶う制度設計を提案するよう心がけています。
 また、そのような提案ができるように、日々研鑽を積んでいます。

 「将来のことをどうしようか悩んでいる」という方がいらっしゃったらぜひご相談ください。

弁護士法人 井上・菊永法律事務所 電話082-554-2515 〒730–0012 広島市中区上八丁堀8–26 メープル八丁堀401号

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