「家族信託」とは、自分の持っている不動産・預貯金などの資産を信頼できる家族その他の信頼できる人に託して、その管理と処分を任せる いわば「家族の家族による家族のためにする財産管理」です。
この家族信託は、財産を託す人(委託者)と財産を託される人(受託者)との間の契約で行われます。
よって、この2人の合意があれば成立します。
ただ、そのことと、それが適切かどうかは別問題です。
1 家族にしっかりと話をしていますか
たとえば、長男にだけ、又は長女にだけ財産を渡すような家族信託(遺言もそうかもしれません)をする場合、他に家族がいた場合に何も伝えずにいると、「財産を独り占めしてずるい」「私にももらう権利(遺留分)がある」というようなもめごと(いわゆる「争族」)を誘発することになりかねません。
できることなら、財産を次の代に残す立場の方から、どういう想いでその財産を託すのかを、残された家族の方などに話をしておくことが望ましいです。
「家族会議」の大切さは色々な場で言われています。
2 家族以外の関係者へ話をしていますか
たとえば、「実家を長男に託そう」という場合で、抵当権などがついていない場合にはいいのですが、「賃貸不動産を託そう」となった場合などで、借入が残っている場合、単に家族だけで決めてしまうと問題が起きる場合があります。
金融機関の抵当権がついているようなケースでは、金融機関の承諾のない名義変更は期限の利益喪失事由にあたりうる、つまり場合によっては一括での返済を求められることになりかねないため、あらかじめ家族信託をする前に金融機関には話をしておく必要があります。
このように、家族信託にあたっては、関係者へしっかりと話をしておく必要があります。