家族信託コラム⑯~身上監護と家族信託~

 当事務所のホームページの「業務のご案内」のところには次のとおり記載しています。

「家族信託」とは、自分の持っている不動産・預貯金などの資産を信頼できる家族その他の信頼できる人に託して、その管理と処分を任せる いわば「家族の家族による家族のためにする財産管理」です。

 このように、家族信託というのは、あくまで財産管理の手法であります。

 他方、高齢者の支援として求められるのは財産管理に限られたものではなく、いわゆる身の回りのこと(例えば、福祉施設への入所の手続やその費用の支払いなど)も求められる場合も多くあります(これを「身上監護」といいます。)。

 この身上監護については、家族信託において対応することができないものであるため(上述のとおり、家族信託は財産管理の手法であるため)、身上監護についての支援が必要となる人は「成年後見制度」を利用する必要があります。

 よく「家族信託を使えば成年後見は不要」ということも言ったりしますが、この部分において、両者は並存するものとなっています。
 相談に来られたケースにおいても財産管理と身上監護の両方が必要であれば、家族信託と後見を並存的に利用することが必要となります。

 よって、家族信託に携わる者としては、その関係分野として成年後見などについての理解を深めていくことも必要となります。

弁護士法人菊永総合法律事務所 電話082-554-2515 〒730–0012 広島市中区上八丁堀8–26 メープル八丁堀401号

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