世の中で同じ意味で使われることも多い家族信託と民事信託。
今回は、その違いについて少し説明をさせていただこうと思います。
1 商事信託について
信託、といえば、ほとんどの方が信託銀行をイメージされます。
そして、信託銀行は自らが受託者(信託を受託する人のことをいいます)となって、報酬を得る形で、業として信託を行います。このように業として行う信託のことを商事信託といい、これを行うためには信託業法の免許が必要となります。
2 民事信託について
民事信託は、この商事信託との対比で使われる表現で、分かりやすく言うと「商事信託ではない信託」というのが良いかもしれません。
つまり、例えば家族や身近な人が受託者となって信託を行う、つまり一回限りのものだから免許なくできる、そのようなものだと思っていただくと良いかもしれません。
3 家族信託について
家族信託とは、民事信託の一種で、受託者が家族になることが想定されるもので、主として認知症対策や障がい者支援対策に使われるものです。
つまり、「家族の、家族による、家族のための信託」です。
そして、家族信託は民事信託の一種と書きましたが、事業承継=家族信託とすると日本語としてしっくり来ないことから、これらは民事信託と言われることが多いです。
このホームページでも民事信託、家族信託という表現を併用しますが、概ね上記の考えに従って使い分けをしていきます(ただし、この考えは人により異なるため、ご注意ください)。