1 厚生労働省の公表内容
先週、色々なニュースで、厚生労働省がブラック企業を初めて発表したなどやっていたので、ご存じの方も多いかもしれませんが、平成29年5月10日に厚生労働省が「労働基準関係法令違反に係る公表事案」という資料を発表しました。
〇厚生労働省HP(資料)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf
そこでは、地域ごとに「企業・事業場名称」「所在地」「公表日」「違反法条」「事案概要」「その他参考事項(主として送検日)」が一覧になった形で記載されています。
例えば、安全対策を怠ったり(労働安全衛生法違反)、賃金を支払わなかったり(労働基準法、最低賃金法違反)という事例が公表されています。
2 公務員の世界での労働環境
労働問題というのは、民間企業だけの問題ではありません。
文部科学省が発表した調査によると、中学校の6割で時間外が100時間の勤務をしているということが報告されたり、最近では、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)などが今年の5月13日から、電話相談ダイヤル「霞が関過労死110番」を実施するという取組みがされる旨がニュースで出たりしているように、公務員の世界でも時間外労働が恒常化していると考えられています。
よく「公務員はいいよね」と言われる世界ですが、時に「本当にこんなに頑張っているのに、厳しい批判をされて・・・」と思う方にも出会ったりします。
3 労働時間、労働環境についての考え方の変遷
「仕事があるんだから、仕方がないじゃないか」というのは、もう通用しない時代が来ているのかもしれません。
私自身もこれまで100時間、200時間の残業は当たり前の環境で働いたことがあります。
その当時は、「そうしないと目の前の仕事が回らない」という責任感から頑張っていたように記憶していますが、そのような考え方で心身を壊してしまうようなことになったのでは元も子もないと思われます。
少なくとも、そのようなことを他人に求めるのは間違いだと思っています。
4 労働時間だけでない問題(パワハラなど)
労働時間が長時間になると、当然心身ともに疲労していくのですが、それ以上にしんどいのはパワハラなど職場環境に問題があるケースです。
パワハラをする人に共通する傾向としては「自分は悪いことをしていない」「自分も過去にそうされてきた」というように、自らがしている行為を何かしらの考え方により正当化している、というのがあるかと思います。
または、そもそもパワハラをしているという意識すら欠落しているケースも散見されます。
もし自分の配偶者や子どもなど大切な人がそのような目にあったら、という想像ができれば、人の痛みが分かれば、そのような行為は減っていくと思うのですが、なかなか簡単にはいかない問題であるとされています。
5 考えるきっかけとしてのコンプライアンス研修
当事務所は、訴訟ではなく、いわゆる予防法務(色々なもめごとが起きないようにする対応)を中心に取り組んでいる事務所です。
その取組の一つとしては、様々な研修の実施がしています。
研修の内容として、パワハラなどを含むコンプライアンスをテーマに研修なども対応していますので、そのような取組をお考えの事業者様などがいらっしゃいましたら、お問い合わせください。