相続関係コラム⑫~死後事務委任契約という契約はご存じですか。~

 みなさんは「死後事務委任契約」という言葉を聞いたことがありますか。
 この契約は、弁護士でも知らない人がいる契約の一つですが、相続と関係する話なので、今回ご紹介いたします。

1 死後事務委任契約とは

 誰しも、いつかは亡くなってしまうのは避けられないですが、人が亡くなると、その後、様々な事務が発生します。
 ざっと考えてみても、例えば家を借りていたらそこの明渡しのための事務、葬儀に関する事務など様々なものがあります。
 自らが元気なうちに、万が一自らが亡くなった時には「葬儀はどこでやってほしい」「部屋の片づけはこうしてほしい」ということを、家族や友人、又は法人と契約をして、死後に備える契約、 これが死後事務委任契約です。
 契約というのは、契約当事者が存在することが原則になるのですが、この契約は効果が発生するときには、契約当事者の一方が不在となるという点で、他の契約との違いがあります(普通の委任契約は当事者の一方が死亡したら終了します(民法653条1号)。

2 どういう場合に使うか

 たとえば、高齢の方が、同居している家族(相続人)がいて、上記のことをやってくれる人がいる場合には、この死後事務委任契約をする必要はあまり高いとはいえません。
 なぜなら、相続人である家族がそれらの業務を行うことができるからです。
 もっとも、「家族に負担をかけたくないから」ということで、生前に業者さんと死後事務委任契約をすることも場合によってはありうるところです。
 その場合には、そういう契約を結んでいることをしっかりと相続人に伝えておく必要があります。
 その他の活用のケースとして、まだまだ元気な高齢者の方が、将来に備えて「任意後見契約」「死後事務委任契約」「家族信託契約」を組み合わせることで、円滑な財産管理及び承継を行うために締結するケースもあります。

3 当事務所では、死後事務委任についての相談なども随時受け付けております(その他、遺言や家族信託の相談も対応できます)。

 自らのこれから、そして残された方の将来などをどうしていくかを考えるお手伝いができればと思っておりますので、ご相談がありましたら、当事務所にお気軽にご相談ください。

弁護士法人菊永総合法律事務所 電話082-554-2515 〒730–0012 広島市中区上八丁堀8–26 メープル八丁堀401号

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