よくある質問①~家族信託は財産が多くある人のためのものではないのですか~

 これまで多くの相談者の方から色々な相談がされてきました。
 その中には、皆さんにも参考になるものが多く含まれていることから、平成29年7月5日から「よくある質問」コーナーを設けて、そこに質問とそれへの回答をあげていこうと思います。

(質問)
「家族信託は、いわゆる資産家の方の話であって、普通の家庭には関係ないのでは?」

(回答)
 この質問はこれまでたくさん受けてきました。
 たしかに、資産をたくさん持たれている方もその資産の承継をしっかりと考えていかないといけないのは間違いないのですが(相続税対策など)、相続する財産は実家だけというような場合もその承継の仕方を考えておかないといけない場合があります。
 たとえば、ある方が「私はもう高齢で、遠くない未来に施設に入ろうと思っている。その時にはこの実家を売ってお金にしようと思う。残された子供たちもそれで納得している。」
というようなケースを考えてみます。
 この場合、その方がずっとお元気で、しっかりと判断できるうちはなんの問題もないのですが、仮に何かしらの原因で認知症になり判断能力が失われてしまった場合にはどうなるでしょう。
 家族の間では「実家を売ったお金で施設に入る」という合意があったとしても、実家を売却できません。
 なぜかというと、その実家を処分するためには持主の意思確認が必要となるのですが、上記のような場合には、その意思確認ができないからです。
 そうすると、施設に入ろうにもお金が捻出できず、というようなことにもなりかねません。

 しかしながら、家族信託を使えば、このような事態に対応ができます。
 そのやり方をざっと説明すると、自らの実家を、元気なうちに、子供に家族信託しておきます。 そうすると、その託された子供の判断で、実家の売却などができるようにすることができることから、仮に認知症等になったとしても、もともとの「実家を売ったお金で施設に入る」という想いをかなえることができるのです。

 今回は、実家の信託の話を例にあげましたが、家族信託は決して資産をたくさん持っている方だけの問題ではありません。
 他にも、障がいを持たれた家族をサポートするための家族信託、などいろいろな使い方があります(これまでのコラムにも色々な例をあげています)。
 少しでも「もしかしたら、家族信託を使えるのでは」と思うようなことがあれば、身近な専門家に相談してみるとよいと思います。

(補足)
 裁判所の統計でも、相続争いが起きる多くの場合は資産の総額が3000万円を下回る場合です。
 財産の多い少ないにかかわらず、しっかりと考えておく必要があります。

弁護士法人 井上・菊永法律事務所 電話082-554-2515 〒730–0012 広島市中区上八丁堀8–26 メープル八丁堀401号

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