1 法定相続証明制度とは
前回、平成29年3月29日のコラムにて取り上げた「法定相続証明制度」について、いよいよその導入(予定)が1か月となりましたので、もう一度取り上げてみます。
前回も書いたとおり、法務省において、遺産相続の手続の簡略化を図るために、被相続人(亡くなられた方)とその法定相続人の関係が分かる情報などをまとめた証明書を新たに発行する制度(「法定相続証明制度」といいます。)が平成29年5月29日(月)(予定)からスタートします。
この仕組み自体は、相続手続に関与する人たちの負担軽減を目的とするものですが、まだ、具体的な運用の部分については、準備中(平成29年4月27日現在)です。
2 法定相続証明制度のメリット、課題など
メリットとしては次の点が考えられます。
①法定相続情報一覧図の写しが無料であること
今の仕組みによると、法定相続情報一覧図の写しについて、交付にあたり手数料は徴収しないとのことですので、複数の手続をしたい人にとってみれば、この点はメリットです。
他方、当面の課題として、次の点が考えられます。
①提出先となる金融機関などの関係機関が上記の写しで対応してくれない可能性があること。
おそらく、最初に法定相続情報一覧図の写しを窓口に持って行っても「???」という顔をされる可能性があります(私が相手だったらそうなると思います)。
そして、「戸籍を出してもらえませんか」と言われるのではないかと思ったりしています。
このあたりは、相続に多く携わる現場の実務家の方々が案件を積み重ねていくことで、関係機関との間でこの仕組みについての理解を深めることで解消をしていく部分になるかと思います。
新しい制度は、最初は慣れない部分もあり、使い勝手が悪い面もあるかもしれませんが、せっかくできた制度なので、しっかりと利用をして、活用していけたらと考えています。
今後も新しい情報が入りましたら、ホームページにあげていきたいと思います。
〇法定相続情報提供制度について(法務省HP)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00284.html