平成28年11月19日に、家族信託とは、ということでコラムを書きましたが、その続きとして、「そもそも家族信託って何ができるの」というところについて、今回から何回かに分けてコラムを書きます。
「家族信託を使えば、自らの資産を、自らの意思に基づいて活用・承継させることができます」と言ってもなかなかイメージがしにくいですが、家族信託でできることの例をいくつか挙げてみますと、認知症対策、事業承継対策、共有物対策などなど色々あるところです。
その中でも代表的なものとして「認知症対策」としての家族信託を今回取り上げます。
認知症対策
高齢化社会が進む中、加齢に伴い認知症となる方々も年々増えていっています。
これは、誰にでも、もちろん私自身にも起こりうることです。重要なのは「誰にでも起こること」だということです。
そして、認知症になると、不動産を処分したり、金銭を贈与したりすることができなくなります(これを「資産の凍結」と言ったりします)。
こうなってしまうと、元気なとき「私は自分の持っている財産をゆくゆくは長男に引き継いでもらいたいのでよろしく」と話をしていたとしても、そのとおりにすることはできません。
家族信託はこのような場合に有用なツールです。
ざっくりと言いますと、元気なうちに「私が認知症などになったり、死亡したりした場合にはこうしてほしい」ということを家族信託という手法を使って、信頼できる家族などにそのことを託すことで、その想いを実現することができます。
この手法を使うと、仮に自らが認知症になったりしても、その託された人(受託者)が想いを実現してくれます。
ただ、注意したいのは、家族信託をすることができるのは、自らが認知症になる前に限られるということです(遺言も同様です)。
「今日できることを明日に延ばすな」「思い立ったが吉日」という言葉があるとおり、もし、自らの持っている財産をこうしてほしいという想いがあるのであれば、それは家族信託や遺言などの形にしておくのが望ましいものです。
もし気になることなどがありましたら、まずはお気軽に当事務所にご相談ください。