よくある質問⑥~障がいを持ったご家族がいらっしゃる場合の家族信託の活用~

(質問)
「最近、新聞などで見たのだが、障がいを持った子供がいる場合に家族信託が活用できると聞いた。
 私には、一人息子として、障がいを持った長男がいるが、その子の将来のことをどうしたらいいのか悩んでいる。長男の将来のために家族信託という方法はどう使えるのか。」

(回答)
 この問題はよく「親なき後問題」といわれるものです。
 以下では、家族信託をどう使うのかを説明したうえで、その他の制度についても説明したいと思います。
1 家族信託を使って、どのようなことを叶えられるのか
 家族信託は、自らの持っている財産を、自らの想いに従った形で管理し、承継する手段です。
 よって、遺留分の問題が生じるようなケースを除き、財産を持っている人は、自らの財産を誰に、どのように渡すのかを自由に決めることができます。
 では、家族信託の使い方についてですが、たとえば、今回の相談のケースでは、相談者とその配偶者の方がご健在だとすると、相談者が一定の財産を家族その他信頼できる人に託し、そこから生活費等を受け取る仕組みを作ります(この生活費等を受け取る権利を「受益権」といいます。)。 そして、万が一、相談者が亡くなったあとはその受益権を配偶者に、又は長男の方に移るような仕組みを作ります。
 こうすることによって、自ら及びその配偶者の生前の生活をサポートしつつ、亡くなったあとの長男の生活をフォローする仕組みを作ることができます。
 さらに、ここが家族信託の良いところなのですが、長男の方が亡くなったあと、残った財産があれば、それをお世話になった施設等に渡すこともできるのです。

2 家族信託を使わなかった場合にどうなるか。
 上記の例で家族信託を使わなかった場合にはどうなるかというと、長男が障がいのため判断能力がないような場合、長男に財産を渡したとしても有効な活用は難しく、また長男が亡くなったあとは、長男が結婚していたり、子供がいたりするような場合を除き、財産が国庫に帰属する形となってしまいます。

3 家族信託活用時の注意点
 1では良い点をお伝えしたところですが、少し家族信託にもネックがあります。
(1)財産の管理を託せる人が必要
 一つ目は、財産管理を託せる人がいることが前提となっていることです。
 この「信託」という仕組みは、自らの財産について、信頼できる人に管理を託する仕組みなので、財産を託せる人がいることが前提となります(例外もありますが、ここでは割愛します)。
 なお、財産を託せる人がいない場合にも、信託銀行などを使って対応することが可能な場合もあります(詳しくはまた別の機会にご説明します)。
(2)家族信託の専門家の不足
 2つ目は、家族信託の仕組みを作れる専門家が不足していることです。
 この「信託」という仕組みは少し変わった仕組みなので、誰でも簡単に使えるというものではありません。
 信託についてしっかり取り組むには、一定の研鑽が必要ですが、まだまだそのスキルを持った人は多くはないというのが実情です。

4 当事務所において対応が可能なこと
 私は家族信託に積極的に取り組んでいますが、基本的なスタンスとしては「相談者にとってベストな方法はなにか」というのを一番大事にしています。
 たとえば「家族信託をしたい」という相談が来ても、家族信託をする必要がない人には勧めないようにしていますし、上記のとおり財産の管理を委ねる人がいない場合には、信託銀行の利用をお勧めしたりするなど、相談者にとって最良の選択ができるように対応しています。
 今回取り上げた「親なき後問題」の場合には、「特定贈与信託」という仕組みを使って、残された子供に対して最大6000万円のお金を非課税で渡す仕組みがあるのですが、そのことなどもお伝えし、具体的な手続の相談にも乗っているところです。

 まだまだ知られていない「家族信託」ですが、この仕組みを使うことで色々な課題を解決することが出来ます。
 「もしかしたら私のこの問題も家族信託でなんとかできないか」と思われた場合には、お気軽にご相談ください。

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2017年09月15日